コラム

膣ダイレーターについての考察

はじめに

カウンセリングルームEsolveでは膣内に男性器やその他物体を挿入することが難しい挿入障害や、性交痛の方がクライエントとして数多くいらっしゃいます。

上記のようなクライエントには膣ダイレータートレーニングという、一種の行動療法を行うわけですが、ダイレーターの種類も色々とあって何を使えば良いのか迷っている方もいらっしゃいます。今回は、膣ダイレーターについてクライエントの使用経験も考慮してレビューしたいと思います。

ちなみに日本性科学会によると、腟ダイレーターは、医療者の指導のもと患者自身が使用する医療器具であり、
  ①骨盤領域の放射線療法や外科手術に由来する腟内瘢痕形成や腟狭窄の予防
  ②ワギニスムスや性交痛に対する腟周囲筋のリラクセーション法の習得
  ③腟欠損症における皮膚伸展による腟腔の形成

を目的として使われます。

ただし実際には、①や③の様な症例は少なく、挿入障害、性交痛のある方が最も多く使用していると思います。

色々な膣ダイレーターがあります

ジェクス 膣ダイレーター

まずは日本性科学会が認定しているものです。ダイレーターの製造・販売をジェクス株式会社に委託しています。ただし、実際使用した印象では、他の膣ダイレーターと比較して、やや硬めであり、異物感が強く出る傾向はあります。しかし癌治療後の膣狭窄や膣欠損などの疾患に対してはしっかりとした硬さが必要なのかもしれません。ただ挿入障害や性交痛の方が使うと、その硬さから心理的に負担がでる可能性があります。詳しい情報は以下からお願いします。

シリコンダイレーターWR 

これは両サイドに異なる直径のダイレーターがついているもので、コンパクトに収納できるので良いかもしれません。日本の産婦人科医が監修しており安心して使用できる商品だと思います。

VWELL シリコンダイレーター

このダイレーターはタンポン使用時、挿入を伴うセクシャルコンタクト時、婦人科検査時などに不快感を感じている方に対して開発されたものです。特に、挿入が痛みなくできるためには、骨盤底筋が十分にリラックスできることが必要です。VWELLは、骨盤底筋運動を意識して設計されており、太さのサイズもちょうど良い組み合わせです。医療用シリコンの滑らかな仕上げで、挿入圧を最大70%低減しています。滑らかな床やガラス面などの表面に張り付く構造なため、様々な体位での挿入障害の練習には良いと思います。

メシべ

ダイレーターのような仰々しい医療器具的なものに抵抗がある場合は、メシべの様なアダルトグッズの方が抵抗なくトレーニングを始められるかもしれません。実際われわれのクライエントでもメシべからトレーニングを始めた方がいらっしゃいます。サイズはワンサイズですが、まず嫌な感じを払拭させるための導入としては良いかもしれません。

まとめ

我々のカウンセリングルームには既に産婦人科クリニックでダイレータートレーニングを指導されている方もいらっしゃいます。ただ、膣ダイレータートレーニングは、とりあえず買ってやってみてと患者まかせにしてもうまくいかないことも多いと思います。効率よく進めるには自分に合ったダイレーターを選ぶこと、脱感作療法を併用した心理的なサポートが重要です。もし、ダイレータートレーニングで行き詰まりを感じている方は、相談フォームからご連絡いただければ幸いです。