オルガズムに達しにくい、あるいは性的な快感が十分に高まらないことに悩む女性は少なくありません。ただし、こうした悩みは単純に「異常」と言い切れるものではなく、性欲、不安や緊張、過去の体験、パートナーとの関係性、性感の育ち方など、さまざまな背景が関わっています。
また、一人ではある程度快感を得られてもパートナーとの性交では難しい場合や、そもそも自分に合う刺激がよく分からない場合もあります。このページでは、女性のオルガズム障害とはどのような状態か、どのような背景が考えられるのか、相談の進め方について整理します。

女性の性機能障害とDSM分類

アメリカ精神医学会が刊行している精神疾患の診断分類に、『精神疾患の診断・統計マニュアル(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders:DSM)』 があります。DSMは日本でも精神疾患の診断や理解の際に広く用いられている基準の一つです。
女性の性機能障害についてもDSMの中で整理されており、DSM-5では、①性的関心・興奮障害、②女性オルガズム障害、③骨盤・性器痛/挿入障害 が示されています。
女性の性に関する悩みは、実際にはこれらが重なり合ってみられることも少なくありませんが、どこに主な困難があるのかを整理することは、理解や支援の第一歩になります。今回は、このうち女性オルガズム障害について、その背景や考え方、相談の目安を中心にご紹介します。

オルガズム障害とはどのような状態か

オルガズム障害とは、性的刺激を受けてもオルガズムに達しにくい、あるいは快感の高まりが十分に得られにくい状態を指します。悩み方は一人ひとり異なり、これまで一度もオルガズムを経験したことがない方もいれば、一人では感じられてもパートナーとの性交では難しい方もいます。そのため、単に「オルガズムがあるかないか」だけで考えるのではなく、どのような場面で快感が高まりにくいのか、どこで緊張や抑制が生じているのかを整理することが大切です。

女性のオルガズムの種類

オルガズムに関して、一般的に膣内よりクリトリスでのオルガズムの方が獲得しやすいといわれています。挿入障害の方ように膣内の性的感覚がほとんど開発されていない場合でも、クリトリス刺激によるオルガズムを得ることが可能な場合もあります。

女性のオルガズムの悩みは珍しいことではありません

オルガズムに関する悩みは、決して特別なものではありません。性交中に十分な快感を得にくいことや、オルガズムに達しにくいことだけをもって、直ちに異常と考える必要はありません。一方で、ご本人にとってつらさや戸惑いが大きい場合には、その背景を丁寧に整理することが重要です。大切なのは、一般論と比べることではなく、ご自身が何に困っているのかを見極めることです。

オルガズム障害の背景として考えられること

オルガズムに達しにくい背景には、さまざまな要因が関わります。たとえば、性欲の低下、不安や緊張、過去の体験、パートナーとの関係性などの心理的・関係的な要因です。
一方で、疲労、ホルモンバランスの変化、加齢に伴う身体反応の変化、膣の乾燥や痛み、慢性的な体調不良といった身体的な要因や、抗うつ薬などの内服薬の影響が関わることもあります。
さらに、自分に合う刺激の種類や強さが分からない、快感の高まり方を十分に経験できていないといったことも影響します。このように、オルガズム障害は一つの原因だけで説明できるとは限らず、身体面・心理面・関係性の側面をあわせて整理することが大切です。

一人のときとパートナーとのときで悩み方が異なることがあります

オルガズムの悩みでは、一人のときにはある程度快感を得られても、パートナーとの場面では難しくなることがあります。逆に、自分一人では性感がよく分からず、どのような刺激が合うのか整理できていない場合もあります。
この違いには、安心感、緊張、相手への遠慮、ペースの違い、刺激の仕方のずれなどが関わっていることがあります。そのため、どの場面で困難が強くなるのかを分けて考えることが重要です。

性欲低下・性嫌悪・性交痛との違い

オルガズム障害は、性欲低下、性嫌悪、性交痛などと重なってみえることがあります。しかし、性的な欲求そのものが低いのか、性的接触への嫌悪感が強いのか、痛みや不安が中心なのかによって、悩みの整理の仕方は異なります。
また、これらが複数重なっていることも少なくありません。オルガズムの問題だけを切り離して考えるのではなく、性の悩み全体の中でどこに中心的な負担があるのかを見ていくことが大切です。

Esolveで大切にしている支援の考え方

Esolveでは、オルガズムを「結果」だけで捉えるのではなく、そこに至るまでの快感の高まり方、不安や緊張の入り方、安心して性的反応を感じられるかどうかを含めて整理していきます。
支援では、いきなり性交中のオルガズムだけを目標にするのではなく、ご本人の状態に応じて、一人での性感の確認、パートナーとの関わり方、快感に集中しやすい環境づくりなどを段階的に考えていきます。

一人での性感の整理から始めることがあります

オルガズムの悩みでは、まず自分にとってどのような刺激が心地よいのか、どのような状況で快感が高まりやすいのかを知ることが助けになる場合があります。
そのため、必要に応じて、一人での性感の感じ方や、自分に合う刺激の傾向を整理することから始めることがあります。ご本人が安心して取り組めること、自分の反応を否定せずに観察できることを大切にしています。

パートナーとの関わり方を調整することもあります

パートナーとの性交でオルガズムに達しにくい場合には、刺激の仕方だけでなく、安心感、緊張、遠慮、相手とのペースの違いなども関わっていることがあります。
そのため、必要に応じて、パートナーとの関わり方や触れ合い方を見直し、より安心して性的反応を感じやすい関係を整えていくことがあります。最初から結果を求めすぎず、負担の少ないところから調整していくことを重視しています。

Esolveでのご相談について

Esolveでは、性の悩みを一人で抱え込んでいる方や、パートナーとの関係の中で困難を感じている方に対して、性医学と心理的支援の両面から整理を行っています。
「自分がオルガズム障害にあたるのか分からない」「快感が高まりにくい理由を整理したい」という段階でもご相談は可能です。一人でのご相談だけでなく、必要に応じてカップルでの相談も含めて進め方を検討していきます。

関連する悩みについて知りたい方へ

オルガズムの悩みは、性欲低下、性嫌悪、挿入障害、性交疼痛症などと重なっていることがあります。気になる症状が他にもある場合は、関連ページもあわせてご覧ください。

ご相談を考えている方へ

オルガズムに関する悩みは、身近な人にも相談しにくく、一人で抱え込みやすいテーマです。初回相談では、現在困っていることや背景を無理のない範囲で整理しながら、今後の進め方を一緒に考えていきます。
料金やご利用の流れ、よくあるご質問については、以下のページもご確認ください。

ご相談をご希望の方は、予約フォームよりお申し込みください。

よくある質問

オルガズムに達しないことは異常ですか
必ずしもそうではありません。悩みの背景や困り方は人それぞれであり、まずは何に困っているのかを整理することが大切です。

一人では快感があるのに、性交では難しいのですが相談できますか
はい。オルガズムの悩みでは、一人のときとパートナーとのときで反応が異なることは珍しくありません。

パートナーに知られずに相談できますか
はい。まずはご本人だけで相談し、その後必要に応じて進め方を考えることも可能です。

性欲低下や性嫌悪との違いがよく分かりません
これらは重なってみえることがあります。実際には、悩みの中心がどこにあるのかを整理しながら考えていくことが重要です。