論文紹介・学術活動

経口避妊薬とうつ病の関係

Esolveに相談に来る女性のなかには、パートナーに対して性欲が低下してしまっている方がいらっしゃいます。その原因はパートナーシップや、過去の体験からくる性的な嫌悪感かもしれません。一方で注意しないといけないのが、経口避妊薬により性欲低下やうつが引き起こされている可能性です。この研究は、経口避妊薬により思わぬ副作用を研究したもので、女性の性にも関わるトピックなので紹介致します。

Question  Is use of hormonal contraception associated with treatment of depression?

Findings  In a nationwide prospective cohort study of more than 1 million women living in Denmark, an increased risk for first use of an antidepressant and first diagnosis of depression was found among users of different types of hormonal contraception, with the highest rates among adolescents.

Meaning  Health care professionals should be aware of this relatively hitherto unnoticed adverse effect of hormonal contraception.

https://jamanetwork.com/journals/jamapsychiatry/fullarticle/2552796/

この研究では、デンマークの100万人以上の女性を追跡調査し、ホルモン避妊薬の種類や使用期間によって、抗うつ薬の処方やうつ病の診断のリスクがどう変わるかを分析しました。

その結果、ホルモン避妊薬を使用している女性は、使用していない女性に比べて、抗うつ薬の処方やうつ病の診断のリスクが高くなることがわかりました。特に、10代の女性や、プロゲステロンだけを含む避妊薬を使用している女性は、リスクが高くなる傾向が強いことがわ判明しました。また、ホルモン避妊薬の使用をやめた後も、リスクはすぐには下がらず、数か月から数年かかることが示唆されました。

この研究は、ホルモン避妊薬の使用とうつ病の発症に因果関係があると断定するものではありませんが、相関関係があることを示しています。ホルモン避妊薬は多くの女性にとって有用な選択肢ですが、その副作用やリスクについても十分に理解し、医師と相談しながら使用する必要があるということです。

実は経口避妊薬は性機能に影響を及ぼすことがあり、我々のカウンセリングに相談に来られる女性には必ず経口避妊薬の服用の有無を聞いています。避妊薬を中止しても性機能が回復せず、ご心配な方は問い合わせフォームからご連絡いただきますと幸いです。