論文紹介

日本性科学会雑誌への投稿論文が採択され、掲載されました

心因性の勃起不全(Erectile dysfunction: ED)の薬物治療についてはホスホジエステラーゼ5(Phosphodiesterase 5:PDE 5) 阻害薬が一定の効果を示すことが明らかになっています。

一方で、重度の性欲低下や興奮障害症例では薬理作用として催淫作用はないことから、その効果は期待できません。

我々は、このような薬物療法が無効な心因性EDに対して、独自に開発した行動療法を用いたセックス・セラピーを行いその効果を検討しました。

今回の論文では、心因性EDの診断でセックス・セラピーを開始した全31症例中、条件を満たした14症例(カップル)を検討しました。症例の平均年齢は35.5歳、パートナーの平均年齢は35.1歳、パートナーとの交際(結婚)期間は40.1ヶ月でした。

婚姻関係があるカップルは6カップル(43%)、子供がいるカップルは3カップルは(21%)、挙児希望のカップルは5カップル(36%)でした。

セックス・セラピーのセッション回数は中央値5.5回、継続期間の中央値は4.3ヵ月、最終的な効果判定で効果ありと判断したものが11症例(79%)でした。

今回の我々の検討から、PDE5阻害薬に代表される薬物治療の効果が十分に得られない心因性EDに対して、セックス・セラピーが一定の効果を示すことが示されました。そのためには、パートナーと良好な関係を維持し、行動療法に取り組み、十分な回数を重ねることが重要であることがわかりました。

本論文には我々が使用している行動療法プログラムも記載しました。今後ともこのような学術活動を通して、セックスセラピーの裾野が広がることを期待します。以下は論文のリンクになります。

https://jglobal.jst.go.jp/detail?JGLOBAL_ID=202402290363645909